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2009年11月30日 (月)

「イース」の裏設定

■2017/6/21追記 : イースシリーズ30周年記念に、全曲アレンジバージョンを作りました。よろしければ、聴いていただけると嬉しいです。


注意:ここに書くことは、僕が昔の「イース」製作者の方から直接間接に聞いたお話しです。
雑誌や書籍に載ったものではありません。また、誰からのものなのかはお答えできません。
ですので、話半分に聞いてください。文章もいつも以上に適当な走り書きにします。
よく「イースグローバルガイドブック」が元ネタだと勘違いされますが、違います。イースグローバルガイドブックにはない情報もありますから、それはわかっていただけると思います。


・黒い真珠
二人の女神は、イースの地の人間たちの暮らしを豊かにするため、女神としての力をふるって「黒い真珠」を作り出し、人間たちに授けました。

※ポイントは、女神達が作った、という部分です。グローバルガイドブックでは、女神達が海の底から羽衣と引き換えに持ち帰ったとされています。が、僕の聞いたお話では、少なくとも昔のスタッフは「女神が作って人間に授けた」と構想していたそうです。
ただ、ゲーム中には何の影響もない設定ではありますね。

・魔王ダームと黒い真珠
神官たちがイースの書において「あいつ」と書き記したのがダームの事なのは間違いありません。
が、黒い真珠=ダームであることに、神官たちは最後まで気づかずにいました。
ダームのあの姿は、黒い真珠のある場所とは離れた場所にでも、自由に現れるものだったのです。
神官たちは神殿に迫ってくる「ダーム」の姿が、まさか自分達の背後に安置されている「黒い真珠」が作り出した幻影だとは見抜けずにいたのです。

「黒い真珠」はサルモンの神殿に安置されていました。
イースの中心部を天空へ持ち上げる力の源泉が黒い真珠だったことは無論です。
しかし、魔物たちはダームの塔を築いて神殿への追撃を始めました。
その先頭に、「あいつ」がいました。

次第に追い詰められていくなかで、女神達だけが「ダーム=黒い真珠」であることに気づきました。
そしてそのことを神官にも誰にも伝えることなく、女神達は黒い真珠を持って地底深くへと降り立ち、ダームを封印しました。

※神官たちが「ダーム=黒い真珠ということを知らない」という事実。これはゲーム中で間接的に描写されています。端的に現れているのは、やはりイースの本の中で「なぜだかわからない」が「魔物の追撃が止ま」って、「女神たちも姿を消した」と書かれていること。しかしながら、設定としては言われないとわからないレベルの話だと思います。
でも、このように考えてみると、イース1・2のストーリーはいろいろなところがキレイにまとまっていくのです。
しかし黒い真珠の力そのものを全て封じたのではなく、ダームの意思だけを押さえ込んだことで、大きな誤算が生じました。
イースは魔の脅威がひとまず去ったあとでも天空に浮かび続け、黒い真珠を失った神官たちはイースを地上に戻す術を失ったのです。
神官たちに見られるのは、超然とした賢者の姿ではなく、取り乱し、思い込みに判断を左右され、ついには最後の望みをまだ見ぬ未来に託す、そんな人間らしい姿です。

・魔王ダーム
黒い真珠は次第に意思を宿していった。それが魔王ダームの正体で、ゲーム中で戦うときの姿はかりそめのものに過ぎません。

※カイン=ファクトなんていう設定ではありません。
もっとも、ダームって出番の少ないラスボスでしたから、キャラ付けをしようとしたことは自然な流れだったように思います。
ダームの姿は(ゲーム中の描写からは「わかるわけねえよゴルァ!」って言いたくなるものの)黒い真珠とは離れた場所にも像を結ぶことができ、神官たちはこのことに最後まで翻弄されていました。これもまた、製作者の頭の中にだけあって、ゲームには盛り込まれずどこの書籍にも書かれなかった(つまり、ゲームから理解できた人がいなかった)設定です。

・6体の巨大な魔物
イースの書に書かれている6体の巨大な魔物とは、イース2ではなくイース1のボスたちを指しています。
また、彼らに付けられている「本名」、グラック=ジェンマとかセムス=ハダルとかですが、これらは神官の子孫とかそういう意味合いではなく、「魔の側の6神官」という設定になっています(昔のスタッフの方曰く「究極の裏設定」)。

※ヨグレクス&オムルガンはセットで1と数えますが、これは「心は二面性を持つ」という感じで二身一体のボスとして考案されたのでしょうか。イース2で明らかになるようにファクトの子孫が天空と地上に別れていること、魔法がシールドであったこと(ヨグ&オムも片方は無敵状態でしたよね)、など、いくつか思わせぶりな演出はあるようですが・・・・・・。
PCエンジン版でイース1のボスたちと戦う部屋の扉、および床にイースの紋章が描かれるようになり、よく見ると周囲の六つの○に色がついていたのを覚えている方も多いと思います。あれが、上記の裏設定を移植に際して復活させた演出なのです。
(PCエンジン版の製作には当時の元ファルコム社員の方が参加しており、移植にあたってパソコン版で描ききれなかった情報や設定をさりげなく盛り込んでいったのです。)

また、エターナルでは無くなってしまったかもしれませんが、昔のイース2で「通行証」を使うと、「ちょうどイースの紋章を逆にした形をしている」といったテキストが表示されたのを覚えている方はいるでしょうか。このことも、「女神と6神官」「魔の元凶と6神官」という点へつながる対称性の演出になっています。
ただ、昔のイース2をプレイしてこのことまで読める人は・・・・いなかったんじゃないかなあ。

・おまけ:フィーナの正体
ファミコン版やX68k版では、対決の際にダルク・ファクトがフィーナの正体をアドルに話す、という衝撃的な場面があります。
が、これは移植に際してのアレンジではなく、88版本来の脚本にあった台詞を復活させたものです。

※88版のバイナリを解析すると出てくるそうです。僕がイースの裏設定に興味をもったきっかけが、実はこの話だったりして・・・・パソコン通信で、イースに深く関わったスタッフの方が実名で書いていたのですよ。
ソースがある、という意味でも重要な情報ですが、現在は見ることが出来ないと思います。


こんなとこかな?
ココに載ってない裏設定も、もしかしたらあるのかもしれません。
ただ、僕が聞いて知っているのはこれだけです。

イースエターナルは素晴らしいリメイク作品でしたが、実はイースの本来の設定に不明な点を多く残したまま制作されたものでした。セムス=ハダルをマニュアルで初代神官と記述するなど、決定的な間違いが残っています。
エターナルは、オリジナルの製作者達へのヒアリングなどは特に行わず、恐らくはイースグローバルガイドブックやOVA版イースの設定を盛り込むことで掘り下げを行っていったのでしょう。

しかし、ここに含まれて居ない設定である「神官たちはダームの正体を見抜けなかった」「6神官と魔の6神官」という大きなふたつの柱から、イース世界の重要な人物である神官たちの知られざる素顔が覗けるように思います。
僕はこのようにして見えてきた「イース」の世界こそ、イースの原作者達が本当に描きたかったイースの世界に他ならない、と思っています。

そこから僕が読み取ったのは、人間の不完全性を愛おしむ視線と、そこに生まれる未来への限りない祝福です。ありがちなことこの上ないですが、人間が若く不完全であるからこそ未来には可能性がある。そういったテーマが、イースにおける大テーマであることを改めて確認したのです。冒険家アドルの設定にもこれは現れていますし、旧作やエターナルでも十二分に描かれていたと思いますが、裏設定をあわせて考えることでよりリアルに、より説得力を持ったイースの世界が見えた気がしました。

そこには、アドルの姿だけでなく、以前は超人的で神秘の存在だった6人の神官たちが、身近な皮膚感をもった人間たちとして感じられたからです。

このブログ記事から、今まで見えなかったイースの世界がほんの少しでも開けたなら幸いです。

あと、バラしちゃってごめんなさい >誰に言ってるかは秘密。

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コメント

 はじめまして。本名荒井と申します。
 極めて信憑性の高いオリジナルスタッフの証言の数々、非常に興味深く拝見しました。
 「イース」が備えていた「優しさ」とは、物語のみならず、ゲームシステム等も含め、作品全体からにじみ出る、人に対する眼差しの優しさだったのだと思います。そしてそれこそが「イース」を「イース」たらしめていたのでないか...と思ってしまうわけです。

投稿: 本名荒井 | 2009年12月18日 (金) 14時24分

>本名荒井さん
はじめまして。昔からお名前は存じております。
ここに挙げた証言、僕ともう一人だけ知ってる方がいらっしゃいますが・・・たぶんそちらの方のこともご存知だと思います。
ことの起こりはイースエターナルが出た頃、「イース1の廃坑最下層と、イース2の中枢は同じ場所なのか?」という議論が再燃したことにありました。

87年という時代もあり、相当に細かいところまで踏み込んでさまざまな設定や構想が作られた割には、やはりゲームには一部しか反映できなかったようです。「エターナル」でも、そうした要素を復活させたというよりは整合性が取れるように新しく考えた部分が多いのでしょう。
※PCエンジン版への移植に際してオリジナルに参加したスタッフがいくらかの要素を復活させていますが、テキストベースの説明がほとんど無いためわかりづらい・・・・しかし海外版のテキストには反映されているそうです

登場人物に感情移入させる、というのはCRPGでは当時珍しい試みだったのではないでしょうか。そこに「優しさ」を感じられたのではないか、と個人的には思っています。

まとまりのないレスで申し訳ありません。

投稿: がっでむ | 2009年12月21日 (月) 12時12分

イース、懐かしいですね。
エターナル以降は、有翼人の物語になってしまいましたが、本来なら『アドルが旅する先々の、土着の神や精霊・魔人などの事』を綴った物語。
その方が、スッキリしていていいように思えます。オリジナルを尊重する派なので、貴重な情報を、ありがとうございました。

投稿: もきゅ | 2016年11月 7日 (月) 23時21分

もきゅさん、コメントありがとうございます。
有翼人の設定はイース7以降はあまり前面に出てこなくなりましたね。6で前面に出したのが不評だったのかもしれません。少なくとも自分はそこが嫌いでしたので、7,8に満足しています(^^;

イースのオリジナル版のマニュアルを読む限り、イースシリーズの設定というのは「冒険日誌そのもの」ではなくこれらを元に創作された物語であるはずです。(「翻訳・小説化したものである」と記載されているため)

このため、僕の個人的な思いとしては、例えば「セルセタの樹海」は本当に樹海を探検して古代の遺跡を見つけただけ、という現実にある冒険記そのもののようなもので、それらを元に膨らませたファンタジー物語がゲームのストーリーになっている、と思うことにしています。

これだと、移植やリメイクや、イース4のような特殊なケースまですべてが同時に成立しえるので。

イース8も素晴らしかったですし、今後のシリーズにもまだまだ期待しています。

投稿: がっでむ | 2017年1月 8日 (日) 22時47分

よく拝見させて頂いております。
はじめて書き込みします。

>セムス=ハダルをマニュアルで初代神官と
>記述するなど、決定的な間違いが残ってい
>ます。

これについては、間違いを許容できる解釈をして、私は受け入れています。

イース1のマニュアル本文をそのまま書きます。
「ニグティルガーのレリーフ」
「サルモン神殿の守護者だろうか。
サルモン神殿について記された古い文献には、壁に巨大な生物を象ったレリーフの刻まれた部屋があるとされているが、その部屋も未だ発見されていない。
文献によれば、神殿に集う人々を守るために、六神官の祖先セムス=ハダルが化身した姿だという。」

これはロマンシングサガ2の七英雄と同じと考えられないでしょうか?

かつて多くのモンスターを駆逐したと伝えられる七英雄。
再び災いに見舞われた時に彼らは再び現れるという。
ところが・・・・。帰ってきた彼らの姿は魔物そのものであり、人間たちにとって新たな脅威となるのだった。

守り神だと、初代神官の化身した姿だと思っていたのが実は、イースを襲った6体の魔物のかたわれだった。

700年の時の経過では伝承も誤って語り継がれる可能性もあるのではないでしょうか?

投稿: KO-1 | 2017年11月25日 (土) 15時48分

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