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2012年10月26日 (金)

イース セルセタの樹海(8)

プレイ時間30時間ちょっと、一周クリアしました。

最初に全体的な感想を言うと、「面白かったけどストーリーはいまいち」
これPCエンジン版を発売当時にクリアした時の印象と似てます。あの時ほど落胆しなかったけど、今回もストーリーについては・・・・正直、あえてきちんとしなかったのかと思いたいくらい。

いちおうのテーマ的なものとしては「自分の力と責任で探求して切り拓くこと」が挙げられます。エルディールのやってきたこと、アドルとの会話(エンディングあたり)からも明らかです。
グルーダはもちろん、バミー、ガディスもこれがテーマだと仮定すると存在意義があります。薄いけど。

エンディングが非常にあっさりしていたので、ストーリー自体も出来が悪いというよりは、そう見られることを覚悟した上であっさりめに仕上げたのでしょう。イース4は元々、各担当メーカーに細部を任せる方針で、言い方を変えると「原案を元にご想像ください」でした。

今回は「セルセタの樹海」というゲームを原案として、ユーザー自身が物語の細部を想像していけば・・・という狙いがあるのではないでしょうか。
(ただし、想像の材料となるのは基本設定であったり、それらを踏まえた演出であったりするわけで、仕上がったゲームは想像の材料の数、質ともにイマイチだと思います。)

あとファンサービス。あっさりさせつつのファンサービスは当然さりげないものになり、旧作を知ってるとニヤリとする箇所は多いかと。幸い、旧作もEGGで遊べますしね。PS2版だけは中古ソフト買うしかないかな。
イースファンからは総スカンをくってる(ぶっちゃけそいつらはイースファンじゃないと思うけどね)PS2版ですが、4だけは良いと思ってます。ファルコムさんも、今回の「セルセタの樹海」に含まれるPS2版オマージュ(っぽいもの)を見る限り、他機種版と対等以上に扱っている気がしますね。

旧作のオマージュと思われる要素は、別途とりまとめてみると面白そうです。
今回メモをとったりしながら遊んだわけじゃないので、全部覚えてる自信はありませんが。


以下はいつものスタイルで。

○エルディールとの戦い
太陽神殿ではエルディール(黒ディール)と対決。
彼の真実は、予想以上にしょーもないもので正直言って落胆しました。今回のシナリオは、意図はわかるものの「そりゃないだろう」という稚拙さが見え隠れするのが残念です。
ただ、黒ディールがやろうとしていたことにはそれなりに意味があり、物語のテーマに関わってきているようです。

○イリス
原案では、古代都市に「イリスの塔」というのがありました。
その名前を残し、今回は「生命の書」の記録世界という扱いに。BGMがSFC版イリスの塔と同じく「塔」だったのが嬉しいですね。サービス精神旺盛です。
アレンジはちょっとおとなしいかな?シンフォニックな方向になってますが、もっと激しくてもハマる曲だと思います。
イリス内部は「青銅」「白銀」「黄金」の三つのエリアがあり、それぞれのガーディアンを倒せ!という趣向。言うまでもなくこの三つは、旧イース4の古代都市に対するオマージュであり、ファンに向けたサービスでしょうか。
ただ、各ガーディアンがみんな色違いみたいな姿で弱めなのは残念かも。あ、難易度選択でハード以上にしたらすごいのかな。

○グルーダ
イリスの中枢で、ついに短身の男グルーダとの戦い。「ついに」って書きましたが、盛り上がりませんねえ・・・。短身グルーダとの間にたいした因縁が無い上、短身のグルーダ自体のバックグラウンドがうまく表現されてないのが要因でしょうかね。
とりあえず、生命の書の記録を取り込んで化物になった短身あらためデカキャラグルーダを倒す、というゲーム的にはオーソドックスな展開です。

ただ彼の目的は、もっと掘り下げてあげてもよかったな。黒ディールもそうでしたが「試練を与えることで人のあり方を正す」というのは、物語の悪役としてはよくあるパターンです。
それだけに、上手に掘り下げ、肉付けしてあげればとても深いものにもなったはず。
エルディールとグルーダでは、同じことをやろうとしても動機がかなり異なるのも、意図的なのかどうかわかりませんがポイントかと。動機自体もえらい薄っぺらいのですがね。

twitter等でも軽く触れたのですが、今回のグルーダはアドルと対比される存在として描かれているようです。
そのような見方をしてみると、アドルの記憶喪失とそれによってゲーム中で描かれた少年時代、旅立ちのエピソード、強い好奇心、なんかが一気に意味性を帯びてきますね。

気がついた方も多いと思いますが、ダナンで語られたグルーダの過去、出奔の経緯は、好奇心に突き動かされたものであるという点でアドルの旅立ちの経緯と対になるものです。

誰もがそこで暮らすことを当たり前としていた平和な山村と、そこに暮らす人々みんなが過去の咎を共有し贖罪のために土地に留まりいろいろなものを受け継いできた閉鎖的な秘境。
毛色はだいぶ違いますが、外部との接点が限られた環境に強い好奇心をもった男が生まれ、その好奇心ゆえに故郷を旅立っていった、という枠組みは同じです。
そんな故郷から、「またいつか必ず帰ってこい」と言われ一人で旅立ったアドルと、文字通り故郷を捨てて数人の同行者を連れて旅立ったグルーダ、意図的に対にしてあるように思います。

ただ、彼らを対比させることで何を描こうとしているのか、そしてどの程度達成したのか、ということを考えると、この対比は成功したとは言い難い気がします。
前者は自分の力で努力すること、というテーマにつながるものだと思いますが、そもそも対比自体が地味な見せ方にとどまっていますしね。

グルーダがやってきたことは、(彼が神童といわれるほど優秀だったとは言え)ロムン帝国の力を使って兵隊を用意したり、仮面のレプリカで兵隊を強化したり、生命の書に干渉して人類に試練を与えようとしたり、と、自分以外の力を利用するものばかりです。
自分の足で樹海を踏破し、仲間たちとの信頼関係(グルーダの「利用」と対になる)に支えられて突き進んだアドルとは非常に対照的ではありますが、「対照的だなあ」と思われるための演出は弱かったのかな、と。


○最終局面
火山に行けたのでほっとしましたw
ゲーム上最後の敵も、意外な相手。デカキャラじゃないのが珍しいですね。そして最後にとるアクションも。

最後がデカキャラじゃないこともあって終わり方がどんどんこじんまりしていく印象があり、そこは残念だったんです
が、例えばウルティマなんかだと「ラスボス」自体がいなくて、あるモノをどーにかしたらエンディング、ということも多いのです。神殿で瞑想し、徳と原理の関係性についての質問に正しく回答したらエンディング、とか、エクソダスに正しい順番でカードを差し込んだらエンディング、とか。

ラスボスを倒したらエンディング、という国内RPGのお作法と異なることをまさかイースがやるとは、という驚きは、なかなか新鮮なものでした。

○エンディング
あっさりしすぎにも程があるエンディング。
この長い記事の最初のほうで述べたとおり、プレイヤーに想像して欲しいという狙いによる意図的なものだと思います。ただ、やっぱりちょっと寂しいですね。
個人的には、グリゼルダさん29歳が見たかったです。

最初に書いたとおり、ストーリーについては微妙な印象。やりたいことはわかるし良いと思うのですが、達成出来てないという意味で点数を高く評価することは出来ない。
ただ、好きか嫌いかで言うならば間違いなく好きな部類ではあります。
二周目を遊んで、見落とした点や細かなセリフなどの気づきがあれば、評価も変わるかもしれません。
反面、ゲームシステムやバランスはイース最高傑作を見事に更新したと思います。(これまでは、SEVENが最高だと思ってました)

イースシリーズとのお付き合いは、まだまだ続いていきそうです。今から次回作が楽しみだな。


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コメント

クリアお疲れ様でした。
自分の感想もがっでむさんと似たようなもんです。

自分にとって残念だったのは、記憶を取り戻していくシステムが、充分に機能していなかった事ですね。

断片的に入手する記憶から、終盤にストーリーが根本からひっくり返される。そんな物語りを期待していたのですが、せっかくのシステムが、ただ順を追ってお話を読んでいるだけのものと同じ作りだったのが残念です。
(場合によっては、プレイヤーの動かしている赤毛のキャラクターが、アドルではない別人だった、なんて事もあるかもと妄想していたのですが。)

ともあれ、トンキンハウス版には失礼ですが、あれがイース4の公式と今まで言われてたのは納得がいってなかったので、あれよりはVITA版が公式に成り代わるみたいなので、その点は良かったと思ってます。

投稿: どり | 2012年10月26日 (金) 12時06分

>どりさん
コメントありがとうございます。7に続き今回も、かなり面白かったですね。

「記憶を取り戻す」要素は、システムというより演出と思ってとらえていました。狙いはシリーズ未経験者対策で、しかも経験者にも新しい発見(幼少期の描写など)がある。その上、セルセタのストーリー自体の伏線もたくさん盛り込める、とよく考えついたなあ!と感心しています。

ただ、電撃オンラインにあったインタビューなどを見ると自由度への意識もあったようです。どりさんがおっしゃる通り、記憶喪失の設定がゲーム展開を大きく変えたり、(予想を)裏切るような使い方がされていれば確かに面白そうですね。

ストーリーそのものは微妙な印象なのですが、アドルの記憶喪失というアイデアとその使い方には嘆息しました。エルディールやカーナとの関わり方もこの記憶喪失が効果的で楽しかったです。

投稿: がっでむ | 2012年10月27日 (土) 22時28分

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