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2015年9月18日 (金)

水性塗料「ファレホ」 (2)

久しぶりに投稿します。

以前書いたファレホについての記事が未だにたくさん読んでいただけているようでしたが、愛用しているうちにいろいろ考えなおしたりしたこともあり、改めて記事を起こすことにしました。

■基礎知識
ファレホは水性アクリル塗料ですが、日本の「水性ホビーカラー」「タミヤアクリル」等とは性質が大きく異なり、「模型用のアクリル絵の具」とでも言うべきものです。次のような特色があります。

・「乾燥」ではなく、「硬化」が必要。
水分が蒸発して表面の艶が消えたらOKと思いがちですが、この状態では塗膜が非常に弱く、こすったりするとボロボロと簡単に剥がれてしまいます。実際には、この後空気中の酸素と化学反応を起こし、塗膜が固まっていきます。完全に硬化したファレホは意外に頑丈です。
乾燥しただけの段階ではできるだけ触らず、できれば2-3日放置するとよいでしょう。
オーブントースターの余熱などで温めて硬化を促進することも出来ます。
実は、この性質はMrカラー、ガイアカラー、フィニッシャーズ、タミヤエナメルを除けば殆どの塗料に共通です。
特にハンブロールエナメル塗料は塗膜が極めて強靭で、硬化後はエナメルシンナーはおろかツールクリーナーや接着剤でも完全には溶けないほどです。

・アクリル絵の具のメディウムが使用可能
リキテックス等のアクリル絵の具向けに売られている添加剤が使用できます。
特に有用なのは次の二種類です。

(1)「ペインティングメディウム」:ファレホシンナーの強力版と考えて差し支えありません。伸びをよくし、食いつきと塗膜を強くします。乾燥時間はかなり遅れ、また若干透明度が出ます。ファレホを非常によく溶かすので、入れる量は少なめに。

(2)「スロードライブレンディングメディウム」:ペインティングメディウムよりもさらに乾燥を遅く、伸びを良くします。これを入れると、油絵の具やエナメル塗料のブレンディング感覚での塗装が出来ます。
ただし数日乾かないこともあるので要注意です。

また、他にもさまざまなテクスチャを加えるものや、ひび割れを起こすものなど、アクリル絵の具には様々な種類の添加剤がありますのでためしてみると良いでしょう。
ファレホとアクリル絵の具との混色も可能です。(余談ですがシタデルカラーとファレホの混色も可能です。)

・筆で塗る
ファレホは原液がかなりドロっとしていますが、そのままでも筆塗りが可能です。固くて塗りにくいな、というときは、ごく少量の水やファレホシンナーを加えて薄めます。
特にシンナーは塗膜を強化する働きもありますので、できれば常に少し入れて塗るとよいでしょう。
薄める(溶かす)という意味では、水が一番効いてくれます。水が多くなると塗ったときに弾かれやすくなりますので注意が必要です。

・ドライブラシ
ファレホはドライブラシにも問題なく使用できます。モデルカラーかゲームカラーを薄めずに筆に付け、しつこく拭い取ってから使いましょう。
乾いたファレホが筆にこびりついた状態になりますが、これは水で洗っても簡単には落ちません。
画材店で買える「アプト」等のクリーナーがあると便利です。
(いわゆる、模型店で買える「ブラシエイド」はアプトのOEM商品です。アプトの場合大容量のものも買えてお得です。)

・エアブラシで吹き付ける
ファレホはエアブラシでの吹付けが可能です。専用の「モデルエアー」「ゲームエアー」もありますが、モデルカラーやゲームカラーを薄めて吹き付けても特に問題はありません。
一部の色は顔料として有害なカドミウムが含まれるため、あまりエアブラシ塗装を推奨してはいないようです。
喚起を良くしたり防毒マスクを使用しましょう。

希釈率を数字で現すことは難しいです。
エアブラシでの塗装時に次のようなことに注意して下さい。
(1)水だけで薄めるのではなく、専用シンナーを併用する。
水だけで薄めると弾かれやすくなるため。少量の水と少量のシンナーで薄めて試し吹きし、調整しましょう。

(2)薄めすぎない。
ファレホは少ない水やシンナーでもかなり溶けて希釈されます。しかし、見た目には透明感がないので、相当薄くなっているのにわかりにくいことがあります。
大量の水やシンナーをいきなり入れるのではなく、少しずつ加えてよく溶かし、様子を確認して下さい。

(3)エアーで乾かしながら吹く。
ファレホは比較的乾燥が遅く、水分が抜けるのに時間がかかります。吹付けの際はエアーを吹き付けて艶がなくなるのを確認しながら進めると効率がよいです。

(4)ニードルの先をこまめに拭う。
ファレホはニードルの先にまとわりつきやすく、さらにエアーに依って硬化が始まっていきます。
詰まった感じがしたらまずキャップを外してニードルを確認し、こびりついた塗料を拭ってください。

塗膜そのものはとても薄く、綺麗に仕上がってくれますので、ぜひエアブラシ塗装に挑戦してみましょう。

・シンナーについて
以前売られていた白い専用シンナーは見かけなくなりましたが、現在の透明なシンナーも性質はあまり変わらないそうです。ただ自分は、白いシンナーをまだ使いきっていませんのでこれを使い続けています。
シンナーでの希釈は塗膜を強くもしてくれますが、ファレホは薄まりやすいので入れ過ぎないように注意しましょう。
また、シンナーが乾くとビニールの皮膜状になります(木工用ボンドみたいなものなのです)。落ちにくいので、乾く前に塗料皿や筆を綺麗にしましょう。

・エアブラシクリーナーについて
ボークスさんが取り扱いを始めた当初から、希釈用として推奨されていたものです。
実際によく効きますが、色の種類によるのか、気温や湿度によるのか、とにかく条件がよくわからないのですが、希釈に使用した際に塗料が分離・凝固して使い物にならなくなることがあります。
入れてみて様子がおかしい場合は塗料皿を洗って、新しく塗料をとってやり直して下さい。
基本的には、入れすぎなければ問題ありません。
シンナーは塗膜を強くしてくれますが、エアブラシクリーナーは潤滑剤としての働きが強く、エアブラシの詰まりを防止してくれます。筆塗りの際にも伸びを良くしてくれます。

また、完全に余談ですがこのエアブラシクリーナーは界面活性剤として強力で、平たく言うと便利な洗剤にもなります。一例として、錆びついて動かなくなったニッパーに流し込んでサビをすっかり落としてしまい、復活させることが出来ました。

シタデルやアクリジョンをエアブラシで使った場合の洗浄にも有効です。

・トップコートについて
ファレホにもいわゆるトップコートがあります。「○○バーニッシュ」と名前がついているものがそれです。
筆で塗りつけるほかに、水やシンナー、エアブラシクリーナーで希釈してエアブラシて吹き付けて使うことが出来ます。


・ウォッシングについて
(1)ファレホの上から、油絵の具やエナメル塗料でウォッシングする。
バーニッシュで表面をコーティングしてからウォッシングするようにして下さい。
また、ウォッシングに使用する絵の具や塗料の希釈にはターペンタインを使用すると無難です。
ペトロールは、コーティングに使用したバーニッシュを剥がしてしまうことがあります。(溶けるのではなく、膜が剥がれていきます。)
また、オドレスペトロールやオドレスターペンタインは油絵の具にはききますが模型用エナメル塗料には効きが悪いので使用しないようにしてください。

(2)ファレホでウォッシングする
後述するウォッシュ系ラインナップを使ったり、通常のモデルカラー等を思い切り薄めて使うことも可能です。
水だけで薄めると弾かれてしまうため、シンナーを加えます。
また、裏ワザというほどでもありませんが、マットバーニッシュ等のバーニッシュにわずかなモデルカラーを加えて色をつけ、これを塗るという方法もあります。

ファレホは乾いたあとで拭き取ることが難しいため、エナメル塗料によるウォッシングとは違う技法と考えて下さい。


■ラインナップと特色、注意点
・ファレホモデルカラー:基本。色数が多いですが、やや塗膜が弱くなります。

・ファレホパンツァーエース:AFVやその手のフィギュア向けラインナップです。性質はたぶんモデルカラーと同じ。

・ゲームカラー:メタルフィギュア等の着色を視野に入れたもので、シタデルカラーに対抗したものだと思います。モデルカラーよりもやや塗膜が強く、隠蔽力も高いものが多いです。

・モデルエアー:そのままエアブラシで使えるように調整されたものです。筆塗りでも不自由はありません。

・ゲームエアー:そのままエアブラシで使えるように調整されたゲームカラーです。使ったことがないので塗膜強度はわかりません。

・ウォッシュ:ウォッシング向けの塗料です。エナメル塗料や油絵の具を使う場合と異なり、拭き取りが難しいことに注意が必要。また流動性もそこまで高くありませんので、毛細管現象での流し込みはあまり期待できません。
スミ入れというよりは本当にウォッシングに使うものと言えます。また、乾燥時に白く濁ってしまうことが多々あります。これは撹拌不足なのか、模型表面の汚れか何かと反応してしまっているのかわかりませんが、これがやっかいであまり使わなくなってしまいました。
最近ラインナップが拡充され日本にも入ってきていますので、できれば使ってみたいのですが。


長くなりましたがいかがでしょうか。
ファレホは隠蔽力や伸びの良さといった基本性能が高いうえに応用範囲が広く、たいへん便利な塗料です。
可動部分に使うとやはり剥がれやすいのですが、それ以外にはまだ様々な可能性があると思います。

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